研究課題/領域番号 |
14370735
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野水 基義 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00311522)
|
研究分担者 |
門谷 裕一 北里大学, 医学部, 講師 (10185887)
宇谷 厚志 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10292707)
西 則雄 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70001857)
|
キーワード | ラミニン / シンデカン / 基底膜 / 細胞接着 / ペプチド |
研究概要 |
ラミニン由来の活性ペプチドの同定と、それらが器官発生、神経再生、創傷治癒などの高次生命現象に及ぼす役割を解明し、細胞特異的に働く活性ペプチドを医薬分野などに応用するための基盤づくりを目的に研究を行った。 ラミニンα1鎖Gドメインのシンデカン結合部位を同定するため、ヘパリン結合部位のスクリーニングを組換えタンパクと113種類の合成ペプチドを用いて行った。2種類のペプチドがヘパリンに結合し、それらはLG4モジュールに存在するとともにヘパリン依存的に細胞接着を促進することがわかった。さらに、そのうちの1つAG73(RKRLQVQLSIRT)がシンデカンに結合することがわかった。これらの結果はシンデカンを介したラミニンの生物活性の解明に重要な知見を与えるものである。また、他のラミニンα鎖(α1〜α5)のGドメインのLG4モジュールに焦点を当てループ構造の相同部位に注目したところα1の相同部位はインテグリンに、α3とα4の相同部位はシンデカンに対して特異的に結合することがわかった。さらに、このループ構造をミミックした環状ペプチドは鎖状ペプチドに比べ活性が増大したことからループ構造の重要性が明らかになった。 これらの研究結果は、Suzukiら、J.Biol.Chem. 278:45697-45705,2003、Biochemistry 42:12625-12633,2003をはじめ6報に報告した。以上の研究結果は、ラミニン活性ペプチドの器官発生、神経再生、創傷治癒や血管新生などの高次生命現象に及ぼす組織特異的な役割を分子レベルで解明していくことの可能性と、組織特異的に働くラミニン活性ペプチドの医薬分野への応用の可能性を示唆するもので、今後はラミニンα2鎖、α5鎖の相同部位のレセプターの探索とレセプター特異的な活性のためのアミノ酸配列の解明を検討していく予定である。
|