研究概要 |
本研究室で同定した新規c-Myc結合タンパク質MM-1,AMY-1に関して以下の新知見をえた。 1.MM-1 c-Mycの転写活性化/抑制化ドメインに結合し,c-Myc転写能を抑制する新規タンパク質MM-1は,白血病,リンパ腫,舌癌などに関与する新規癌抑制遺伝子と考えられる.MM-1は,c-Myc N末にTIF1βを介する新規な転写抑制経路を仲介し,更に(Cul II-Skp2-Elongin B)をc-Mycにリクルートしc-Myc分解を司る因子であることが明らかとなった.また,c-Myc-MM-1経路のc-Myc転写抑制遺伝子として癌遺伝子c-fmsを同定することができた.更に,MM-1はヒト染色体12番由来のスプライシングの違いによるMM-1α,β,δ,γとN末13アミノ酸が14番染色体由来の融合MM-1が存在し,細胞内の局在が異なっていた.以上より、MM-1よるc-Mycの転写抑制と分解の分子機構が明らかとなった. 2.AMY-1 c-Mycの転写活性化に結合し,c-Myc転写能を抑制する新規タンパク質AMY-1の結合タンパク質としてS-AKAP84/AKAP149,AKAP95を同定し、前者がミトコンドリア、後者が核でAMY-1と結合し、AMY-1がA-kinaseのcatalytic domainであるPKAcのRIIへの結合を阻害することでA-kinase活性を抑制することを見出した。更に、AMY-1の新規結合タンパク質として精巣、精子特異的なAAT-1を同定し、AMY-1-AAT-1-RII-AKAP84との4量体形成を行ない、A-kinaseのリン酸化基質になることを見出した。精子形成におけるAMY-1,AAT-1の重要性を示唆した。更に、AMY-1ノックアウトマウスを作成し、AMY-1欠損が胎生致死をもたらすことを明かにした。
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