研究課題
ヒスタミンは血管新生を亢進し、肉芽形成・リモデリングに関与するメディエーターであることを明らかにしているので、気道上皮細胞の再生に対する効果について解析した。また、in vivoでヒスタミンの役割を明確にするために、ヒスタミンの産生酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素を発現させるアデノウイルスを構築しその有効性を検討した。1.気道上皮細胞の増殖・分化に対するヒスタミンの作用ヒト気道上皮細胞株BEAS-2Bをヒスタミン(0.1-100μM)存在下で培養した場合、p44/42MAP kinaseのリン酸下の増大が見られた。一方、この濃度のヒスタミンは、BEAS-2B細胞の増殖速度、及び上皮細胞の分化の指標であるE-cadherinの発現には影響しなかった。したがって、ヒスタミンは気道上皮細胞が剥離した場合、肉芽形成・リモデリングを促進するものの、気道の再生・修復には関与していないことが示唆された。2.ヒスチジン脱炭酸酵素発現アデノウイルスの調製とin vivoにおけるヒスチジン脱炭酸酵素の発現マウスヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子をもつアデノウイルスを調製、精製した。この精製アデノウイルスは、NIH-3T3細胞に活性のあるヒスチジン脱炭酸酵素を発現させることを確認した。さらに、このアデノウイルスをヒスチジン脱炭酸酵素欠損マウスの耳介に注射することにより、in vivoにおいてもヒスチジン脱炭酸酵素蛋白及び活性が増加することを確認した。このアデノウイルスを気道内に投与して,気道組織でヒスタミン産生を持続的に増大させる方法を検討中である。
すべて 2006 2005
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