研究概要 |
ペルオキシソームのプロテオーム解析ならびに新たに同定されたタンパク質の解析を行い、以下の新知見を得た。 1.新規ペルオキシソーム型lonプロテアーゼは、ヒト遺伝子を大腸菌で大量発現させることにより、ATP活性をもつことを明らかにした。現在、ラット肝ペルオキシソームならびに安定過剰発現ヒト肝癌細胞HuH7を用い、lonプロテアーゼの基質特異性ならびに生理的意義を検討している。 2.ペルオキシソーム形成因子Pex3Pは、生合成されたペルオキシソーム膜タンパク質と結合したPex19pを認識し、ペルオキシオーム膜タンパク質のペルオキシソーム膜への挿入を介助している可能性を示した。 3.ALD患者線維芽細胞において、ミスセンス変異をもつある種のALDPはペルオキシソーム膜上に検出されないこと、生合成後急速にプロテアソームで分解されることを見出した。 4.ペルオキシソームの脂質代謝関連酵素タンパク質を網羅的に同定するため、ジアリジン基を導入したパルミチン酸-ビオチンを合成し、ペルオキシソームを光アフィニティー標識した。その結果、75kDaの新規ペルオキシソーム膜表在性タンパク質を発見した。 5.本研究により、aminoglycoside phosphotransferaseとacyl-coA dehydrogenaseドメインをもつAI987948、acyl-CoA結合ドメインをもつendozepin-related protein precursor、ribonucleaseと相同性をもつtumor-related protein、新規antioxidant protein、insulin degrading enzyme、オルガネラ形成と密接に関わる可能性をもつCGI-135-related protein、VAMP-associated protein A, B, C、Rab21,4をペルオキシソームタンパク質として同定した。動物細胞発現ベクターを用い、それぞれの機能を解析していく予定である。
|