研究課題
基盤研究(B)
1.細胞増殖系においては、ERK-MAPキナーゼ系が幾つかの転写因子の機能制御を介してサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害蛋白質の一種であるp27^<Kip1>の発現を抑制し、これが細胞周期の進行において重要な役割を果たしている可能性を提示した。2.細胞分化系においては、ERK-MAPキナーゼが細胞質/神経突起伸長部位においてNF-Mをリン酸化に関与する可能性を見いだした。一方、ここではERK-MAPキナーゼの他にp38 MAPキナーゼも同時に活性化され、活性化p38 MAPキナーゼが核内において幾つかの転写因子の機能制御を介して、NF-Mの発現誘導に密接に関与していることを見出した。3.細胞運動系においては、まず核内においてElk-1がERK-MAPキナーゼによってリン酸化されることでc-fos遺伝子の発現が誘導され、次いでc-Fosがc-Junとheterodimerを形成することで転写調節領域にAP-1部位を持つMatrix metalloproteinase(MMP)-3/-9/-14、CD44各遺伝子の発現が亢進され、これらが細胞運動亢進において重要な役割を果たしていることを見出した。4.ERK-MAPキナーゼの新規基質分子として、RhoA特異的グアニンヌクレオチド交換因子GEF-H1を同定した。また、GEF-H1はERK-MAPキナーゼによるリン酸化の結果、GTP結合型RhoAの増加(活性化)、さらにその安定性の低下(代謝回転促進)が誘導される事を見出した。これらの結果は、ERK-MAPキナーゼ(細胞増殖シグナル)がRhoAの活性化、およびその安定性を調節する事で、アクチンフィラメント等の細胞骨格系制御に関わっている可能性を示唆する。5.ERK-MAPキナーゼ活性化の時間的制御に関しては、ERK-MAPキナーゼ系に対して抑制的に機能するSproutyがERK-MAPキナーゼの下流で発現誘導される事を見出した。また、哺乳類細胞に存在する4種類のSproutyは、相互にHetero-oligomerを形成する事で効率よくERK-MAPキナーゼ系を遮断する事、その分子機構としては、SproutyがGrb2/Sos1複合体と上流のシグナル分子(FRS2等)との結合を阻害する事を明らかにした。
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