研究課題/領域番号 |
14370752
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
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研究分担者 |
塩川 大介 東京理科大学, 薬学部, 助手 (90277278)
丸田 英晴 東京理科大学, 薬学部, 助手 (00266917)
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キーワード | アポトーシス / DNaseγ / ノックアウトマウス / ネガティブセレクション / クローナルデリーション / クラススイッチ |
研究概要 |
我々はこれまでに、アポトーシスの実行過程の顕著な特徴であるDNAのヌクレオソーム単位での断片化を司るエンドヌクレアーゼを完全精製することに成功し、これをDNaseγと命名した。DNaseγノックアウトマウスの作製を行うため我々は、まずマウスDNaseγゲノムクローンの単離、ターゲティングベクターの作製を行い、DNaseγヘテロ変異体ES細胞の単離に成功した。このES細胞を用いて常法に基づきキメラマウスを作製し、C57BL/6と交配した。germline transmissionの結果ヘテロ変異体マウスが得られ、さらにホモ変異体マウスの樹立に成功した。 DNaseγ欠損マウスはメンデルの法則に従って産まれ、外見上特に異常は認められなかった。次に胸腺細胞ヘデキサメサゾン処理あるいはγ線照射、また脾臓細胞、脾臓B細胞へそれぞれγ線照射し、アポトーシスを誘導した。各種細胞におけるDNA断片化の割合をアガロースゲル、TUNEL法を用いて確認したところ、野生型とDNaseγ欠損マウスどちらも同じ割合でDNA断片化を起こしていた。DNaseγは各種ストレスによるアポトーシス時のDNA断片化に必須ではないことが示された。 脾臓細胞をα-CD40+IL-4刺激することでB細胞を活性化させると、DNaseγのmRNAの発現が顕著に上昇する事がRT-PCR法により判明した。そこで脾臓細胞よりB細胞を調製し、α-CD40+IL-4刺激で活性化させた後、α-Fas抗体でアポトーシスを誘導、DNA断片化の割合を検討した。その結果、DNaseγ欠損マウスでは野生型に比べてヌクレオソーム単位でのDNA断片化が抑制されている事が明らかになった。DNaseγは、自己抗原を認識するB細胞や免疫反応終結時のB細胞の除去を速やかに行う為にDNA断片化を触媒している可能性が考えられる。 本研究により、DNaseγの機能解析がin vivoにおいて初めて行われた。γ線をはじめとするストレスにおけるアポトーシスのDNA断片化にはCADをはじめとするDNaseγ以外のエンドヌクレアーゼが働き、B細胞活性化時のアポトーシスにおけるDNA断片化にはDNaseγが主たる機能を担っていることが明らかとなった。
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