研究課題/領域番号 |
14370753
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 俊秀 独立行政法人理化学研究所, スフィンゴ脂質機能研究チーム, チームリーダー (60162004)
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研究分担者 |
清水 善久 独立行政法人理化学研究所, スフィンゴ脂質機能研究チーム, フロンティア研究員 (80344042)
清川 悦子 独立行政法人理化学研究所, スフィンゴ脂質機能研究チーム, フロンティア研究員 (80300929)
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キーワード | スフィンゴミエリン / 脂質ラフト / 膜ドメイン / 糖脂質 / 脂質プローブ / 膜結合性毒素 / MDCK細胞 / 細胞極性 |
研究概要 |
ライセニンはシマミミズの生産するタンパク性毒素で、スフィンゴミエリンを特異的に認識し、細胞死を誘起することが知られている。しかしライセニンによる細胞死のメカニズムはわかっていない。われわれはライセニンがスフィンゴミエリン依存的にSDSに耐性なオリゴマーを形成し、直径3nm程度の穴を膜に形成することを示した。単離したオリゴマーの部位特異的抗体処理により、オリゴマーはタンパク質のC末を外側に、N末を内側に配向していることがわかった。熱分析の結果からライセニンはスラィンゴミエリンの極性頭部と疎水性の炭化水素鎖の両方を認識していることが示された。オリゴマー化にはスフィンゴミエリンの炭化水素鎖が影響を与え、膜の流動性が重要な役割を果たしていることが示唆された。 上皮細胞におけるライセニンのスフィンゴミエリンへの結合はアピカル面とバソラテラル面で大きく異なっている。これはアピカル面が糖脂質に富むためであることが糖脂質を欠損したメラノーマ細胞の解析により示された。モデル膜の実験から糖脂質はスフィンゴミエリンの局所濃度を変化させることによりライセニンの結合に影響を与えていることが示された。われわれの結果はライセニンがスフィンゴミエリンの膜での存在状態を認識すること、またスフィンゴミエリンの存在状態は細胞により、また同一細胞でも異なった膜により異なっていることを示している。等温カロリメトリーの結果はライセニンは複数個のスフィンゴミエリン分子と化学量論的に結合することを示している。このことは細胞には複数個のスフィンゴミエリンが集合したクラスター(脂質ラフト)が存在することを示している。
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