研究概要 |
(1)マクロファージ結合性低酸素細胞放射線感剤の分子設計(堀):今回もさらに低酸素細胞放射線増感活性部分の分子設計として,2-ニトロイミダゾールーアセトアミドTX-1877をリード化合物のGaussian98によるab initioおよび密度汎関数法による分子軌道法計算からLUMOおよびHOMOのフロンティア分子軌道エネルギーと電子分布を我々が蓄積した低酸素細胞放射線増感剤の構造活性相関データに基づいて新規候補化合物を分子設計した.次にマクロファージ結合性構造部分としてN-アセチルガラクトサミンを選び最適なリンカーを選び、マクロファージ結合性低酸素細胞放射線増感剤分子(下記に化学構造を示す)を広範囲検索用として分子設計し合成した.そのひとつがTX-2073である. (2)マクロファージ結合性低酸素細胞放射線増感剤の合成(宇都):分子設計で選択された当該候補物質TX-2073などの合成はメディシナルケミストリー研究的研究に適合する誘導体が発生させうる多様性のある合成ルートおよび条件を検討しながら行った.また合成技術としては,コンビナトリアルケミストリー的多様性がありグリーンケミストリー的条件を満たす数ミリモルレベル(最低限のインビボ実験ができる量)の少量合成を実行した. (3)マクロファージ結合性低酸素細胞放射線増感剤の放射線増感活性を含む薬理試験(永沢):合成が終了した当該候補物質、たとえばTX-2073、のマクロファージに対する結合性は,我々が確立した自家調製Gclflfから調製したGcMAFによるマクロファージ活性化実験(ラット腹腔マクロファージの貪食活性)で評価した.そして当該増感剤候補物質TX-2073の放射線増感活性はEMT6/KUおよびHl299でのガンマ線照射による放射線増感作用を評価した. (4)マクロファージ結合性低酸素細胞放射線増感剤のマクロファージ機能解析(杣):当該候補物質のひとつであるTX-2073のマクロファージに対する影響を評価すべく細胞を用いたマクロファージ活性化能評価系をマクロファージ結合性構造部分としてN-アセチルガラクトサミンをもつ基準物質であるGclflfから調製したGcMAFを用いて検討した. (5)総括(堀):現在までの生物活性試験の結果を検討しながら第1次選考当該候補物質としてTX-2073を選んだ.
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