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2002 年度 実績報告書

遺伝子組み換えによる次世代型アルブミン製剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 14370759
研究機関熊本大学

研究代表者

小田切 優樹  熊本大学, 薬学部, 教授 (80120145)

研究分担者 野崎 周英  化学及皿清療法研究所, 菊池研究所, 室長
棚瀬 純男  熊本大学, 医学部, 助教授 (20112401)
キーワード遺伝子組換え体 / アルブミン製剤 / 抗酸化能 / 血中滞留性 / 体内動態 / 機能特性 / 構造特性
研究概要

本研究は,当研究室において構築された遺伝子組換え技術を基に,アルブミン本来の役割である浸透圧維持作用に加え,抗酸化作用や血中滞留性などが付与された,安全性,有効性かつ経済性に優れた機能性アルブミンを開発することを目的として企図され,以下の知見を得た.
1)^<111>In標識したWild及び7つの変異体(H146A, K199A, W214A, R218H, R410A, R410C, Y411A)のマウスでの体内動態特性を検討した結果,血漿中濃度推移は,Wildに対し,R218H, Y411Aではほぼ同様の挙動を示すのに対し,K199A, H146A, W214Aでは若干の,またR410A, R410Cでは明らかに速やかな消失挙動が観察された.また,同様に,R410A, R410Cにおいて,肝臓及び腎臓への高い取り込みが認められた.
2)各種変異体の機能特性について検討したところ,抗酸化能において,R410A, R410Cでは完全にその能力が消失することが明らかにされ,過酸化水素によって短時間で断片化されることが確認された.また,消化酵素認識能についても,R410A及びR410C,またW214Aで素早い断片化が確認され,消化酵素認識能の上昇が観察された.したがって,サイトI領域ではW214A,サイトII領域ではR410Aにおいて,分子全体の構造安定性が極端に低下したため,過酸化水素及び消化酵素等で断片化され,腎へ移行したことが考えられた.
以上,本研究では,サイトII領域の^<410>ArgがHSAの構造安定性,機能特性及び消失に関して重要なアミノ酸残基であることを明らかにした.したがって,今回得られた,消失に関与するアミノ酸残基,^<410>Argの存在するサイトII領域ではなく,構造的により安定でかつflexibleなサイトI領域に,抗酸化能を有すると言われるCys及びMet等のアミノ酸残基を導入することで,消失の抑制されたより安定なアルブミン製剤を開発できるものと思われる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] K.Matsumoto, M.Otagiri et al.: "Effects of α_1-Acid Glycoprotein on Erythrocyte Deformability and Membrane Stabilization"Biol.Pharm.Bull.. 26(1). 123-126 (2003)

  • [文献書誌] K.Nishi, M.Otagiri et al.: "Structural and Drug-Binding Properties of α_1-Acid Glycoprotein in Reverse Micelles"Biochim.Biophys.Acta. 1601(2). 185-191 (2002)

  • [文献書誌] V.T.G.Chuang, M.Otagiri: "Pharmaceutical Strategies Utilizing Recombinant Human Serum Albumin"Pharm.Res.. 19(5). 569-577 (2002)

  • [文献書誌] U.Kragh-Hansen, M.Otagiri: "Practical Aspects of the Ligand-Binding and Enzymatic Properties of Human Serum Albumin"Biol.Pharm.Bull.. 25(6). 695-704 (2002)

  • [文献書誌] Y.Tsutsumi, M.Otagiri et al.: "Renal Disposition of a Furan Dicarboxylic Acid and Other Uremic Toxins in the Rat"J.Pharmacol.Exp.Ther.. 303(2). 880-887 (2002)

  • [文献書誌] H.Imamura, M.Otagiri et al.: "Stereoselective Protein Binding of Alprenolol in the Renal Diseased State"Chirality. 14(7). 599-603 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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