研究課題/領域番号 |
14370759
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小田切 優樹 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80120145)
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研究分担者 |
棚瀬 純男 熊本大学, 医学部, 教授 (20112401)
野崎 周英 化学及血清療法研究所, 菊池研究所, 室長
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キーワード | 遺伝子組換え体 / 機能性アルブミン製剤 / 抗酸化能 / 血中滞留性 / 体内動態 / 構造特性 / 機能特性 |
研究概要 |
本研究は、当研究室において構築された遺伝子組換え技術を基に、アルブミン本来の役割である浸透圧維持作用に加え、抗酸化能、血中滞留性及びそれらを利用した担体としての有用性などを付与した安全性、有効性かつ経済性に優れた機能性アルブミン製剤を開発することを目的として実施され、以下の知見が得られた。 1.組換え型アルブミンダイマーの作製 組換え型アルブミンを適当なグリシンリッチなリンカーを用いることで二量体化し、組換え型アルブミンダイマーを作製した。構造特性及び機能特性に関する検討の結果、このアルブミンダイマーはモノマーと同等の構造及び薬物結合能を有することが確認された。また、健常及び浮腫モデルマウスを用いた体内動態実験からどちらにおいてもモノマーと比べて有意な血中滞留性の増加が観察された。 2.酸化能を有するドメイン組換え体の作製 アルブミン分子を構成する相同性の高い三つのドメイン(I、II及びIII)をそれぞれ単独で組換え型として作製し、その構造及び機能特性を調べた結果、各ドメインが異なる機能を有することが示唆され、その中でもドメインIに高い抗酸化能が局在することが確認された。そこで三つのドメインIからなるドメイン組換えアルブミンを作製し、その機能特性を評価したところ、極めて高い抗酸化能を有することが観察された。 3.一酸化窒素(NO)を付加したS-ニトロソアルブミンの作製 部位特異的変異法により作製したアルブミン変異体R410Cは、野生型と比べて効率良くNOが導入されることが示唆された。S-NO-R410Cの抗菌活性を測定した結果、S-NO-HSAと比較して強力な抗菌作用を示した。 これらの知見は、血中滞留型アルブミン製剤や機能性アルブミン製剤の開発、ならびに虚血性疾患や臓器移植時のNO補充療法におけるS-NO-アルブミンの将来性に大きく寄与するものと思われる。
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