研究課題/領域番号 |
14370770
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平出 敦 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (20199037)
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研究分担者 |
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学研究科, 助教授 (80117986)
中西 範幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90207829)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
富士原 彰 大阪医科大学, 救急医療部, 教授 (90084970)
中谷 壽男 関西医科大学, 救急医学科, 教授 (70188978)
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キーワード | 病院外心停止 / 除細動 / メディカルコントロール / プレホスピタルケア / 心室細動 / 心肺蘇生 / 救急救命士 / ウツタイン |
研究概要 |
本研究では、あらゆる先進国社会で最も重要な課題である病院外心停止患者について、焦点を絞って、プレホスピタルケアにおけるメディカルコントロールにおいて、検証するものである。ウツタイン様式をもちいて国際的な基準で集計した病院外心停止患者のデータは、年々、集積しているが、今年度には2000年までの3年間データが、1年転帰まで集積分析することができた。その結果、実に15000症例におよぶ症例の集積を、大阪府規模で網羅的にまとめることができ、従来、報告されたことのない規模での研究成果となった。蘇生関連の専門誌であるResuscitation誌には、このうち10000例に関してAge and sex analyses of out-of hospital cardiac arrests in Osaka, Japanとして、年齢と性別に関する包括的な検討結果を掲載することができた。この検討では、男性の50代から70代までの層に、蘇生で重要な心室細動が多く見られる点を明らかにしており、現在、社会的にも注目されている自動体外式除細動器の設置に関しても有力な示唆を与えるものである。また、Incidence and survival rate of bystander-witnessed out-of-hospital cardiac arrest with cardiac etiology in Osaka, Japanにおいては、病院外心停止症例における心室細動症例が、虚血性心疾患ときわめて密接に結びついていることを報告した。こうした報告は、メディカルコントロールによる早期除細動の推進に直接結びつく研究成果である。なお、本年度は、こうした知見に加えて、この記録集計のプロジェクト自体が、メディカルコントロールとして、成果をあげている点についても、3年間の経年的検討から、明らかにすることができた。すなわち、制度上の変化がないにもかかわらず、除細動までの時間は、有意に3年間で短縮していた。この成果も引き続いて、Resuscitation誌に投稿中である。これに加え、平成15年度からは、除細動に対する医師の直接の指示は撤廃され、救急救命士が医師の包括的指示に基づいて除細動を施行できるようになった。この検証は、次年度からの集計によるが、成果が期待される。
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