研究分担者 |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
中西 範幸 大阪大学, 医学研究科, 助教授 (90207829)
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学研究科, 助教授 (80117986)
中谷 壽男 関西医科大学, 救急医学科, 教授 (70188978)
富士原 彰 大阪医科大学, 救急医療部, 教授 (90084970)
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研究概要 |
プレホスピタルケアにおけるメディカルコントロールを推進するためには、特に病院外心停止症例に対する系統的なアプローチが重要である。この研究は、大阪ウツタインプロジェクトとして、ウツタイン様式で地域網羅的におこなった病院外心停止の記録集計が基礎になっている。1998年のデータでは、心停止にて救急隊が関与した症例のうち、目撃された心原性心停止(889例)については、1年生存率は2.9%であり、社会復帰は2%にすぎなかった。1年生存率は、年を追うごとに2.5%(1999年),3.6%(2000年),4.2%(2001年),6.5%(2002年)と有意に(P<0.001)増加していた。また、社会復帰率も同様に増加していた。この背景には、救急隊へのコールから、救急救命士の電気的除細動までの時間が、16分(1998年),14分(1999年),14分(2000年),13分(2001年),12分(2002年)と有意に(P<0.001)に短縮していたことが明らかである。しかし、それだけでなく、居合わせた人による心肺蘇生(バイスタンダーCPR)も、20.4%(1998年),24.3%(1999年),27.0%(2000年),32.7%(2001年),32.8%(2002年)と増加した(P<0.01)ことが関連していると考えられる。これは、心電図装着時に心室細動になっていた症例が増加したことでも裏付けられる。以上のように、プレホスピタルケアにおけるメディカルコントロールの成果は、病院外心停止症例の救命率の向上として検証された。その原因としては、バイスタンダーCPRの増加による心室細動症例の増加が関連しており、さらにこれらの症例に早期に電気的除細動が行なわれるようになったことが関係している。(記録集計は転帰調査のため2-3年、まとめが遅れる。)
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