本年度は、病院内における電磁環境について、医用電子機器に悪影響を与える原因とその度合いを把握するため、詳細な測定と医用電子機器・一般家電機器へ与える影響について調査した。具体的には次のような電源および磁界の強度測定を行った。 病床30床の一般外科病院建物において、様々な条件下で電源の波形を調べ、重畳しているノイズの量とその発生源を調査すると共に、電圧の過不足による機器停止などの誤動作が発生する可能性について探った。この成果は論文として発表するとともに、昨年行った九州大学医学部附属病院の新病院における計測結果とあわせて、今年度の医療情報学連合大会において発表した。次に、無線LANの国際規格に従った電波照射による医用電子機器への干渉の有無について調べた。無線LANには赤外線を利用するもの、電波を利用するもの、レーザー光線を使用するものがあるが、電波を利用するIEEE802.11規格に準じた無線LAN周波数の電波を対象とした。具体的には、運搬が容易な医用電子機器について電波暗室内で無線LANが使用する電波を照射して医用電子機器に与える影響を調査し、論文として投稿するとともに2004年度に開催される国際学会に投稿し、受理された。 さらに、電波発信体が置かれた場合の部屋内や建物内の電界強度分布をコンピュータで容易に予測可能とする2次元電磁界シミュレーションプログラムを作成し、無線LAN(IEEE802.11b)アクセスポイントとノートパソコンを利用した簡易測定実験を行い、その有効性を確認した。
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