研究課題/領域番号 |
14370774
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
河田 登美枝 新潟大学, 医学部附属病院, 助教授 (00186107)
|
研究分担者 |
豊岡 照彦 東京大学, 医学部, 教授 (00146151)
仲澤 幹雄 新潟大学, 医学部, 教授 (80143759)
佐藤 博 新潟大学, 医学部附属病院, 教授 (10125768)
|
キーワード | 再生医療 / 遺伝子治療 / 骨格筋芽細胞 / 心筋症ハムスター / 拡張型心筋症 / δ-サルコグリカン / アデノ随伴ウイルスベクター |
研究概要 |
我々は特発性心筋症モデル動物であるTO-2ハムスター(TO-2)の心筋細胞に欠損しているδ-sarcoglycan(SG)遺伝子を組み込んだ組換えアデノ随伴ウィルス(recombinant adeno-associated virus ; rAAV)ベクターをin vivoにて導入し、長期にわたる遺伝子治療に既に成功している。これらは予防治療である為、今回は病態進展後の治療実験を計画した。しかし、心筋障害を起こした細胞を正常化することは遺伝子治療でも困難である為、心筋に分化し得る細胞として今年度は骨格筋芽細胞をTO-2に移植する再生療法を試みた。 方法及び結果:予備実験としてTO-2と同系統の正常動物のF1Bハムスター(F1B)との間で皮膚移植を行い拒絶反応が起きないことを確認した。F1Bから無菌的に骨格筋芽細胞を採取し、培養する。この培養細胞を開胸下にTO-2の心臓に直接注入した。5週後に心臓を摘出し、δ-SGの免疫染色を実施した。TO-2はδ-SG遺伝子が欠損しているため、δ-SG蛋白の発現がみられないが、F1Bにはδ-SG蛋白が発現している。骨格筋芽細胞移植後のTO-2の心臓では、心筋の一部の細胞にδ-SGの発現が認められ、正常のF1Bの骨格筋芽細胞がTO-2の心筋に生着し、心筋に分化したことが示された。この結果から特発性心筋症のモデル動物において、同系の正常骨格筋芽細胞移植が可能であることが示唆された。 今後は細胞移植後の心機能と骨格節芽細胞の形態を観察し、骨格筋芽細胞が心筋様に分化するための最適条件を検討する。さらに臨床応用に向けてTO-2自身の骨格筋芽細胞を培養し、rAAVを用いてδ-SG遺伝子を組み込んだ後に心臓に細胞を移植する自家移植を目指し実験を進める予定である。
|