研究課題/領域番号 |
14370783
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 香川大学(医学部) |
研究代表者 |
安部 陽一 香川大学, 医学部, 教授 (10047227)
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研究分担者 |
木村 正司 香川大学, 医学部, 助教授 (30253264)
西山 成 香川大学, 医学部, 助手 (10325334)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 尿細管・糸球体フィードバック機構 / CCDカメラ / 糸球体輸入細動脈 / 糸球体輸出細動脈 / ATP / アデノシン / ミクロダイアリィシス法 / Dahl食塩感受性高血圧ラット |
研究概要 |
尿細管・糸球体フィードバック(TGF)機構の異常が、各種腎症の発症・進展に関わっていると考えられる。本研究目的は、TGF機構の伝達機序の全容を明らかにし、腎症の発症・進展におけるTGFの関与、さらにTGF機構の伝達物質に焦点を当てた新たな腎症治療法の開発である。 1.TGF機構を評価する方法として高感度ペンシル型CCDカメラを使用するin vivo dynamic analysis法が確立:麻酔下で左腎臓を露出後、腎臓表面に高感度ペンシル型CCDカメラ(倍率:1000)を装着し、同一糸球体の輸入・輸出細動脈の内径を連続的に測定した。無刺激状態における正常血圧SDラットの輸入、輸出細動脈の内径は、8.55+/-0.22,8.06+/-0.28μmであった。アセタゾラミドを投与すると、輸入細動脈の内径は6.25+/-0.17μmへと低下が、輸出細動脈の内径には変化がなかった。フロセミドは、輸入細動脈の内径をアセタゾラミド投与前値に回復させた。本法によりin vivo TGF活性を評価出来ることを確認した。 2.腎症を発症させるDahl食塩感受性高血圧ラットにおけるTGF機構の評価:6週齢のDSラットを高食塩食(H:8%NaCl)および低食塩食(L:0.3%NaCl)でそれぞれ4週間飼育した。無刺激状態におけるDSHラットの輸入細動脈の内径は6.09+/-0.49μmで、DSLラットの内径(8.80+/-0.22μm)に比べ有意に小であった。DSLラットのTGF活性は、SDラットと差がなかった。しかし、DSHラットではTGF活性の亢進していた。 3.TGF伝達物質の特定:腎間質中のアデノシン、ATP、一酸化窒素濃度を、腎動脈圧変化時に測定したところ、ATP濃度が腎血管抵抗の変化と最も良い相関を示した。 以上、TGF活性評価法を確立した。Dahl食塩感受性高血圧ラットではTGF活性が上昇し、この結果輸入細動脈は収縮していた。高血圧および腎症の原因は、TGF活性の上昇と考えられる。したがって、TGF活性の正常化が腎症・高血圧の治療戦略である。現在、TGF機構伝達物質であるATP受容体遮断薬の効果を検討中である。
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