研究概要 |
時間制限摂食マウスを対象としたCPT-11の副作用に及ぼす投薬タイミングの影響及び副作用発現規定因子の選定および代替生体リズムマーカーの探索 明暗周期(明期:07:00-19:00)、自由摂食(ALF)もしくは時間制限摂食(TRF)(摂食時間:09:00-17:00)条件下で2週間飼育した7週齢ICR雄性マウスを使用した。自由摂食群と比較し時間制限摂食群では、約12時間毒性発現の位相がシフトすることが確認され、両群とも副作用がマウスの活動期において重篤となることで一致した(14年度実績報告より)。 これら毒性発現の機序を薬物動態学的および薬力学的側面より検討した結果、ALF群では副作用の日内変動と薬物動態およびTopoisomerase-I活性の日周リズムに関与が認められたが、TRF群ではこれらに関与は認められなかった。しかし、両群共に骨髄細胞の細胞周期の日周リズムと骨髄抑制の日内変動には対応が認められた。従って、CPT-11の時間治療における投薬タイミング規定因子の一候補として骨髄細胞の細胞周期を選定した。また、白血球と骨髄細胞の細胞周期の日周リズムには対応が認められ、白血球は頻回採取が不可能な骨髄細胞に代わる代替生体リズムマーカーとして利用できる可能性が示唆された。 ガン治療に用いられる薬剤の投薬タイミング規定因子の探索 CPT-11以外にも抗ガン剤のadriamycin, docetaxel, interferon-β, melatoninおよび癌性疼痛治療に用いられるmorphineを対象に投薬タイミングの違いによる効果および副作用への影響を評価した。投薬タイミングを規定する候補因子は各薬剤において個々に異なった。以上より、一元的な生体リズムマーカーによって投与設計を行うのではなく、個々の薬剤の治療目的に対し柔軟に生体リズムマーカーを選択し投与設計を行う必要性があることが明らかとなった。
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