研究概要 |
1.血小板に対する過酸化LDLの効果の基礎的検討 ヒトLDLはSigma社製のものを購入しておよび硫酸銅を使用した方法および次亜塩素酸処理による過酸化LDLの作製はArnholdらの方法(Biomed Biochim Acta. 1991: 50(80):967-73)に従い,作製された過酸化LDLはon iceで保存し一週間以内で使用し切った.500μg/mLの濃度まで,硫酸銅処理による過酸化LDLには単独では血小板凝集,血小板細胞内カルシウムイオン濃度,Cキナーゼおよびミオシン軽鎖キナーゼの活性化さらに蛋白チロシンリン酸化上昇を来たす効果はほとんど認められなかった.一方,次亜塩素酸処理により作製された酸化LDLでは1μg/mLの程度の濃度から,血小板凝集,血小板細胞内カルシウムイオン濃度,Cキナーゼおよびミオシン軽酸キナーゼの活性化さらに蛋白チロシンリン酸化上昇のいずれもが認められ,10-20μg/mLの濃度(異なる過酸化LDLにて多少のバラツキが認められた)で最大効果となった.これらの次亜塩素酸処理により作製された過酸化LDLの効果はビタミンC2.5mM,30分処理を過酸化LDLに加えるとほとんど認められなくなった.以上より過酸化LDLの血小板に対する効果の基礎的検討を終えた. 2.質量分析を用いた血小板シグナルの検討 血小板の様々な活性化に関与するアダプター蛋白CrkLの新規結合蛋白としてASAP1を同定し,CrkLがASAP1の局在に極めて重要でることを明らかにして(J. Biol. Chem. 2003),新視点から過酸化LDLなどにより惹起されるシグナル伝達を新視点から検討する準備に成功した.
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