研究概要 |
1.血小板に対する過酸化LDLの効果の検討 昨年に引き続き,次亜塩素過酸化LDLによる血小板シグナル伝達の系の検討を進行させ,硫酸銅処理による過酸化LDLとの効果の異同につき検討を進めている. 2.質量分析を用いた血小板シグナルの検討 昨年度より、体系的血小板シグナル分子の同定のために質量分析を多用している.皿小板の様々な活性化に関与するアダプター蛋白CrkLの新規結合蛋白として3'端しか知られていなかったDOCK180ファミリーに属する新規タンパクの5.6kbからなる全長cDNAをクローニングし,解析を進めている.興味深いことに,このタンパクはlipid raftに存在し,低分子量タンパクRacの活性化因子であり,ノーザンブロティングでは広い組織分布を示しているという初期データが得られている.本分子が血小板にとどまらず単球系などでも動脈硬化に関連性の深い細胞移動や細胞接着に関与する可能性につき検討を進めている. 3.ノックアウトマウスの検討 phosphoinositide 3-kinaseは血小板の粘着過程に重要な役割を果たしている事が示唆されている.このp85αサブユニットのノックアウトマウス血小板ではコラーゲン惹起シグナル伝達が特異的に障害されていることを報告した. 以上のように,動脈硬化に関連する血小板情報伝達系を多角的包括的に検討継続中である.
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