研究概要 |
1.質量分析を用いた血小板シグナルの検討 動脈硬化の成因や,その1帰結である病的、体系的血小板シグナル分子の同定のために質量分析を多用している.血小板の様々な活性化に関与するアダプター蛋白CrkLの新規結合蛋白として3'端しか知られていなかったDOCK180ファミリーに属する新規タンパクの5.6kbからなる全長cDNAをクローニングし,昨年度に引く続き詳細な解析を進めているノーザンブロティングでは広い組織分布を示していて,本分子が血小板にとどまらず単球系などでも動脈硬化に関連性の深い細胞移動や細胞接着に関与する可能性についても検討した. 2.WAVEタンパク質に関する研究 血栓止血の最初期にみられる血小板の粘着後の伸展などにアクチン重合は決定的に重要である.血小板のアクチン重合に低分子量Gタンパク質rac活性化が関与することが示唆されてきたが,そのrac活性化の下流の位置するシグナル分子は全く不明であった.我々はrac制御下にアクチン重合を制御するWAVEの3アイソフォームとも血小板に存在し,中でもWAVE1と2が共に豊富であるが,3者とも伸展血小板の葉状突起先端部に位置すること,WAVE制御タンパク質Abi-1,Sra-1やNap-1などが血小板に存在すること,これらがカルパインに基質であることなど血小板のアクチン重合に関する多くの新知見を得た(Blood誌平成17年4月掲載予定).
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