自己免疫疾患の予後診断法を開発するため、免疫調節細胞(CD25+CD4+細胞、CD8+樹状細胞、NKT細胞、CD30+CD8細胞、等)および分子が自己免疫疾患の病態や予後を規定する因子である可能性を調べた。その結果、以下のことを明らかにした。 1.自己免疫性甲状腺疾患では、甲状腺内で調節性CD25+CD4+細胞や自己免疫応答を抑制するNKT細胞の比率が低下しているが、これは甲状腺内FasL+CD4+CD8+樹状細胞が調節性のFas+CD4+Tリンパ球にアポトーシスを誘導していることによる可能性を示した。 2.橋本病における甲状腺機能低下症の発症には、活性化細胞傷害性T細胞であるCD8+CD25+細胞と甲状腺自己抗体であるサイログロブリン抗体および甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の存在が各々独立して、さらに自己免疫および細胞傷害機序を抑制するCD30+CD8+細胞上のCD30分子の発現強度の低下が関連していることを明らかにした。 3.バセドウ病の抗甲状腺剤治療に対する難治性にはIgG3産生細胞数が関与しており、IL-10高値が原因の一つであることを明らかにした。 4.深部静脈血栓症の発症は、SLEでは抗プロトロンビン抗体とループスアンチコアグラントの共存が、そしてSEL以外では抗プロテインS抗体が、後天性活性化プロテインC抵抗性を惹起することが原因であることを明らかにした。
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