研究概要 |
生物発光検出イムノアッセイにおいては,アセテートキナーゼ(AK)及びピルベートホスフェートジキナーゼ(PPDK)を標識酵素に用いる同時測定系確立のため,相互の干渉がない条件を設定した.各々の酵素の検出限界はそれぞれ2×10^<-20>mol/assayであり,検量域は10^<-20>〜10^<-15>のダイナミックレンジを有していた.この2つの酵素を標識に用いて,モデルとして糖尿病関連マーカーのインスリンとC-ペプチドの2成分同時アッセイに応用した.2種の抗原共に高分子なのでサンドイッチアッセイにて行った.それぞれ検出限界は1×10^<-16>mol/assay,3×10^<-16>mol/assayであった.昭和大学病院検査部のヒト血清試料について適用したところ現行法との良い一致を示した.次年度は競合法と非競合法との組み合わせの2成分同時アッセイを検討の予定である. 一方,希土類キレートを標識に用いる時間分解蛍光イムノアッセイにおいては,ユーロピウム(Eu)及びテルビウム(Tb)キレートを標識に用い,腸管出血性大腸菌O-157のベロ毒素1,2の迅速同時測定法を確立した.従来の方法では16時間を要していたが,本法では約2.5時間で結果が判明し,腸管出血性大腸菌感染症の迅速検査への適用が可能である.さらにベロ毒素1及び2の遺伝子の同時解析も進めている. 2成分同時に検出測定できる方法は,試料の有効利用,測定時間の短縮化によるマンパワーの節減など検査の効率化に寄与するものである.
|