研究概要 |
黄色ブドウ球菌性表皮剥脱毒素はヒト以外には新産マウス、新産ハムスターのdesmosomeをhalf-desmosomeに切断する毒性を発現する。胎生期17日目、新産ならびに生後8日目のマウス皮膚組織からmRNAを抽出し、R-PCRによってdesmosome構成蛋白をコードする遺伝子の発現を解析した。その結果、新産マウスではplakoglobinが強く発現し、生後8日目ではほとんど検出できないまでに低下した。他のdesmosome構成蛋白をコードするdesmogleins (Dsg;Dsg-1,-2,-3),desmocollins (Dsc;Dsc-1,-2,-3),Plectin, desmoyokin, desmoplakin各遺伝子発現はdevelopmental stageに関係なく、ほぼ同程度であった。この結果からplakoglobinがETの標的物質であると推定された。ETを背部に皮下接種し、表皮が剥脱した新産マウスから水不溶性画分を調製し、mouse monoclonal抗plakoqlobin IgG-Biotin標識抗体を用いてwestern blotを行った結果、対照マウスと比較してplakoglobinのシグナルの低下がみられた。しかし同様な方法によりDsg-1のシグナルには変化が認められなかった。今回desmosomal proteinを検出するためのELISA systemを開発し、2.4ng/200ulのDsg-1/Fc chimeraを検出できた。このELISA systemによる水可溶性画分中のplakoglobin量は生後8日目のマウスと比較して新産マウスでは高く、RT-PCRと一致する結果が得られた。Chemiluminescent HRP ELISA Substrate Kitを用いて検出感度を高め、SSSS患者由来材料についてplakoglobin量と本疾患感受性との相関をさらに検討したい。
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