研究概要 |
14年度に引き続き,症例数を増やし母親の睡眠行動が乳児の睡眠リズムに及ぼす影響、乳児のサーカデイアンリズムが形成する時期,および母子同期について詳細な質的分析を試みた。 母親のインフォームドコンセントをえた単胎症例10組,双胎6組の母子における睡眠日誌と、うち3組については、睡眠・覚醒リズムの判定の信頼性が確認されている客観的判定法であるactigraphyによる活動量測定を出生時から、15週ないし25週間以上にわたって連続して測定した。 その結果、出生後の乳児の睡眠・覚醒サイクルは、ultradian rhythmが優勢であるが、その後徐々に睡眠時間は夜間に集中し、夜間の授乳インターバルも延長した。夜間期(20:00〜8:00)の睡眠時間と昼間期(8:00〜20:00)の覚醒時間は、出産第1週齢に比して、9週ないしは10週齢以降に有意な差が認められた。初産婦の母子は経産婦の母子よりも就寝・起床時刻が全ての週で遅延していた。母親の夜間睡眠中で乳児が眠っている時間のパーセンテージは、週齢とともに上昇していたが、出世以後の前半の週では初産婦の乳児でそのパーセンテージが高く、後半の週齢では低かった。 以上の結果から、睡眠・覚醒リズムにおける発達過程には、個人差がみられるが,9週齢ないしは10週齢以降にcircadianパターンが急速に確立に向かっていくものと考えられた。母親の睡眠習慣や哺育経験の有無、乳児以外の兄弟の存在有無などが、乳児の睡眠・覚醒リズムの発達に修飾影響を及ぼしていた。家庭訪問などによって,育児環境や児の成長発達の観察,睡眠・覚醒リズムおよび授乳リズムなど総合的な視点から,今後(Hl6年度)は母児への生活リズムに力点をおいた看護支援のあり方を検討していく予定である。
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