研究概要 |
本研究の目的は,出生後,乳児の睡眠・覚醒リズム形成過程において,昼間期と夜間期での睡眠時間の相違や母児同期の状態を明らかにするとともに,特に夜間の授乳間隔や時間は,児の睡眠・覚醒リズム形成を左右し,サーカデイアンリズムメーカーとして重要要因になっているのではないかその特徴をあきらかにする目的であった。さらに,これらの結果から,今後の育児支援をめざした時間生物学的視点にたつ育児指導内容を検討した。 方法: 正常満期産で経膣分娩した乳児12名(平均出生時体重は3028g±197g)、およびその母親,初産が7名(28.1±3.13才)、経産婦が5名(29.4±3.21才))に,母児の睡眠日誌を産後15週まで継続記録をお願いした。さらに、初産婦1例についてはActigraphを非利き腕に装着いただきサーカデイアンの形成過程の継続観察を実施した。 授乳法は9名が母乳、3名が混合乳で,これらの母児の同期について、授乳リズムとの関連などを分析し,これらの結果を踏まえた子育て支援の地域活動に役立つ教育プログラムの作成を目指して取り組んでいる。 結果: 1)昼間期の授乳時間はほぼ一定時間であるが、夜間期授乳に個人差が大きく、夜間の中途覚醒や長時間の覚醒は授乳の慣れや兄弟の世話などで母親の睡眠・覚醒リズムが影響を受けていることが示唆された。 2)地域の子育て支援活動の一環として取り組まれた某公民館の教育講演で1.6歳児の子育て中の母親30粗程度に、"生活リズムと子育て"の教育教材を自作し,こどもの規則的な生活リズムの確保を説いた。 結論: 本研究より産後の睡眠・覚醒リズムは授乳リズムに影響を受け、サーカデイアンリズム形成の重要な因子であることが示唆されたので、今後母乳確立への支援とともに、生活リズム調整を子育て支援に具体化が望まれる。
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