研究課題/領域番号 |
14370805
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
樗木 晶子 九州大学, 医学部, 教授 (60216497)
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研究分担者 |
堀田 昇 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (00146797)
長家 智子 九州大学, 医学部, 講師 (70207976)
長弘 千恵 九州大学, 医学部, 助教授 (00289498)
高杉 紳一郎 九州大学, 医学部附属病院・リハビリテーション部, 助手 (40253447)
藤島 和孝 九州大学, 健康科学センター, 教授 (00108606)
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キーワード | 入浴 / 突然死 / 高齢者 / 血行動態 |
研究概要 |
今年度は自立した高齢者において入浴中の循環動態、体温、酸素摂取量、体液因子の測定をおこない安全な入浴環境を実験的に求めた。 【方法】12人の高齢者(男性6人、女性6人、平均年齢70±5歳)を対象として38度および41度の入浴を行い延べ24回の入浴実験を行った。一定環境下で3分入浴後、2分出浴,再び7分入浴という様式をとった。入浴レベルは乳首レベルで座位を保った。測定項目は用手的血圧(上腕)、酸素飽和度、連続的酸素摂取量、ホルター心電図、皮膚温、鼓膜温を安静時から入浴中、出浴後1時間まで経時的に計測した。また、安静時、出浴後10分、出浴後1時間目に採血し、代謝系(血糖、脂肪酸、乳酸)、交感神経活動(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)、血液凝固線溶系(TAT, PAI-1)の指標を測定した。自覚症状に対する問診も行った。 【結果】38度の入浴では血行動態に有意の変化はなかった。一方、41度の入浴では収縮期血圧(SBP)が入浴直後に平均19mmHg上昇し、脈拍の上昇も軽度見られたが(9/分)、7分間の入浴中にほぼ前値に復した。心筋酸素消費量を反映するrate-pressure product(RPP=SBPx心拍数)は入浴直後に3000の上昇が見られ、出浴後10で前値に復した。鼓膜温は38度では有意の変化は無く、41度では出浴直前に0・6度の上昇が見られ、出浴後40分には前値より低下する傾向が見られた。酸素消費量は38度、41度の入浴とも入浴中に軽度の上昇を認めたのみであった(1ml/min/kg)。また、血糖値には経時的変化はなかったが、遊離脂肪酸は経過と共に上昇し、乳酸は低下した。血中カテコラミンは入浴による有意の変化は無かった。TATは38度では変化が見られなかったが、41度において出浴後1時間まで経時的に上昇した。PAI-1には有意の変化は無かった。 【考察】38度の入浴ではほとんどの指標において有意の変化はなく、身体的負荷をほとんど及ぼさないと考えられた。一方41度の入浴ではRPPの増加が見られ心負荷が入浴中はかかっていることが分かった。この事は高血圧や心疾患を合併する高齢者においては大きなリスクになると考えられた。
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