研究課題
本研究は、日常的な看護場面における看護師が患者に触れる行為、すなわちタッチの現象を看護援助の文脈から切り離すことなく記述し、そのタイプと意味を明らかにすることを目的としている。今年度は、これまで予備的な段階として行ってきた、4班(1.神戸市看護大学 一般病院、2.神戸市看護大学 老人病院、3.北海道医療大学 一般病院、4.天使大学 緩和ケア病棟)のそれぞれの研究結果をもちより、検討した。(6月)その結果、データ収集および分析/解釈に関する以下の問題が明らかとなった。1.観察データとインタビューデータのいずれを重視して解釈するかによって、解釈が異なり、カテゴライズ、命名に影響する。2.観察者の関心により、取捨選択が働く。これにより、取り上げる場面に濃淡ができ、どのようなタッチが多くみられるかに影響する。3.タッチの形への着目と、全体の流れ・患者の表情等を同時に観察することの限界がある。このような問題をはらみながらも、見いだされた結果には命名の仕方には若干の相違があるが、共通性もかなり見いだされ、データ全体でのタッチのタイプを見いだせる可能性、患者の特徴を含む看護場面の文脈特性、経験年数等の看護師の特性との関連を分析できる可能性が高いことも確認された。データ収集手順について、プロトコールを作成し、班ごとにフィールドの開拓に入った。これまで、1,3班はそれぞれ1病院に依頼し、看護師および患者への説明・同意書によるインフォームドコンセントを得てデータ収集を行った。現在はこれらのデータの分析を進めているところである。