研究概要 |
研究代表者である羽山由美子が平成17年6月頃より体調不良にて、当初予定していた質問紙調査の実施を夏以降に延期していた。ところが、平成17年10月20日より78日間の入院加療を必要とする事態となり、平成17年度の研究実績はかなり限定されたものとなった。 平成17年度に行なったことは、下記のとおり、5月の研究打ち合わせ・英国研究者との交流、および、平成18年2月以降の資料収集に限定される。 1.英国、オックスフォードより来日中であったGavin Garman, RN, PhDを招いて講演会を実施し(5/13)、その前後に数回の研究打ち合わせ会をもった。フィンランドにおける保安病院の患者処遇および入所者の人権保障は、もっぱら英国をモデルに発展してきているので、閉鎖環境における段階的行動拡大、地域生活にむけてのリハビリテーション、患者自治会による自律性の尊重など、securityとsafetyのバランス維持、treatment and careとのバランス維持をはじめ、具体的な実践から得られた知見は大であった。 今後の質問紙調査(看護職を主たる対象とする人権擁護のあり方に関する意識調査)にあたって、こうした新たな考え方に基づく行動項目を質問紙の内容に反映させることができるであろう。 2.アドボカシー概念の吟味を行い、地域レベル、組織レベル、個人レベルでの理念と行動の相違/共通点について検討した。とくに、日本の医療機関における組織レベルでのアドボカシーのあり方と、欧米におけるそれとはかなり様相を異にするようであり、日本的なアドボカシー概念の探求をする必要がある。韓国と日本との比較も興味深いところであるが、次年度への課題として残したままである。
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