研究課題/領域番号 |
14370815
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
野口 美和子 自治医科大学, 看護学部, 教授 (10070682)
|
研究分担者 |
酒井 郁子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教授 (10197767)
大塚 眞理子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (90168998)
湯浅 美千代 順天堂大学, 医療看護学部, 助教授 (70237494)
小野 幸子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70204237)
天津 栄子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (30020027)
|
キーワード | 痴呆高齢者 / リスクマネジメント / 介護保険施設 / ケアの質 / 介入 |
研究概要 |
本年度は4年間の研究の最終年度である。昨年度より引き続き行っている4施設への介入(痴呆症をもつ入所者に対するリスクマネジメントに視点をおいたケアの質改善を促進する介入)について、そのプロセスおよび介入前後の調査結果の比較により、介入の成果を分析した。さらに、介護保険施設における痴呆症をもつ入所者に関するリスクマネジメントの理論について、介入前の仮説を修正した。 介入の内容は各施設の状況に応じ、様々であった。しかし、介入に共通してみられた支援として、次のものがあげられた。まず、研究者は、スタッフおよび入所者に対して、職員の情報(知識、事実の見方等を含む)が増すよう促し、スタッフ間の相互理解を図る支援を行っていた。また、援助事例の分析やインシデント報告書等の分析をスタッフに公開しながら、対象者の安全、安楽、満足、能力の発揮とケアとの関係の理解を促進し、それをリスクマネジメントのシステムに結び付ける支援を行った。これらはケアリングを基盤として実施された。 介入による成果として、転倒事故や誤嚥・窒息、感染症の減少があった。あるいは減少しなくともスタッフは事故の予防、発生時の対処が可能と認識できるようになり、問題視されなくなっていた。職員の認識においても、「リスクマネジメントに関わるケアの実践」「痴呆症の人へのケア」「チームの中で動因となる実践」について、積極的に関わる方向へと変化がみられた。このことは、介入によって研究者が意図した変化をもたらすことができたと考えられた。 研究者の介入内容・効果について、それぞれの関係を分析、検討し、リスクマネジメントの理論として図示した。介入内容は、施設管理者が痴呆症をもつ入所者のリスクマネジメント活動として意図的に実施していくことが可能であり、リスクマネジメントの質的向上に寄与すると考えられた。
|