手術や化学療法など、侵襲的治療を受けた患者の退院時の状況と思い、退院後のニード、困難等を明らかにするために、本年度は侵襲的治療を受けた患者の退院に関する調査として、文献検討と外来患者への聞き取り調査を行った。 1)文献調査 全身麻酔による開腹、開胸術ならびに鏡視下手術を受けた患者は、退院が決定する時期に、以下の医療処置が行われている。末梢点滴(普通食、全粥が摂取できれば終了)、創部ガーゼ交換・経管栄養、理学療法、内服薬服用(化学療法剤を含む)、放射線治療、膀胱留置カテーテル挿入などである。 2)外来患者への聞き取り調査 手術侵襲が大きく、術後の患者の生活が困難になりやすい事例として、食道癌術後患者の聞き取り調査を行った。11名の外来患者に対して、退院後2-3ヶ月に1-3回の聞き取り調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。術式は全員が右開胸開腹食道全摘・胸骨後胃管再建・胃痩増設術であり、経口摂取とともに在宅での経管栄養を行っていた。入院期間は平均33日、現在の1日の注入パック数は2-3パックで、経腸栄養に関する指導は入院中に受けていたが、抱いていた困難感や思いとしては、体力の低下、経管栄養に伴うトラブル、下痢や便秘などの消化管症状、食べたいのに食べられない葛藤、チューブによる拘束感など、多岐にわたつていた。
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