平成17年度は、手術療法を受けた患者の体験の中でも、合併症としての糖尿病を有する人々の体験を明らかにした。 本調査の対象者のうち糖尿病を持つ者は、31名中4名(12.9%)で、男性3名、女性1名、平均年齢69.5歳(61歳〜82歳)、すべてが2型糖尿病者であった。また、すべての者が大腸癌の手術適応者で、その入院日数は平均26.8日(21〜32日)であった。 これらの人々の退院時の思いに焦点を当てた分析では、「再発、転移への不安」を持つものもいたが、すべての者が『安心した気持ちで迎える退院』を体験していた。しかし、退院後の生活では《もう少し食べたいくらいの食欲の持続》や、《糖尿病との兼ね合いから思うように体重が増やせないもどかしさ》を感じている者、《傷の痛みの増強を抑えるための活動の制限》から《運動療法の必要性を知りつつ行えていない現状》を訴える者もおり、回復の経過において《癌は治ってあとは糖尿病だとの認識》を持ちつつ、実生活での取り組みに困難を感じていた。 また、過去に《血糖値が高いことから延期した手術体験》や《入院中の体重減少によるインスリン注射減量の体験》をしつつも、退院後には《退院後の食事形態の変化からの過食》へと至っている者もいた。
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