研究概要 |
1.今年度は、超低出生体重児に対する「境界付腹臥位屈曲姿勢」の効果に焦点をあてて研究活動を行った。 2.対象は、在胎週数28週未満、出生体重1000g未満で出生し、呼吸管理を必要とした先天異常、頭蓋内出血、神経学的疾患を合併しない超低出生体重児である。両親が研究への参加同意を示した対象を、封筒法により介入群と対照群の2群に無作為に割り付けた。データ収集は、心拍数とSpO2の測定による自律神経系と、行動観察による運動系の指標とを統合してストレスサインを、Thoman分類により睡眠状態を、吸引前から吸引後30分まで2分毎に観察した。データ収集に先立ち、行動指標の内容妥当性、測定の信頼性を確認した。また、研究支援者が実施する介入「境界付腹臥位屈曲姿勢」の同等性をチェックリストにより毎回確認した。なお、本研究は、慶應義塾大学看護医療学部研究倫理委員会および群馬県立医療センター臨床試験審査委員会に倫理審査申請書を提出し承認を受けて行った。 3.結果:これまでに介入群3例、対照群2例のデータが得られた。今後も継続してデータ収集を行う予定である。介入群3例について運動系、状態系の変化をみると、気管内吸引中にはtwitch, startle, leg brace, extend leg, stretch downなどの緊張性で速い運動が繰り返し起った。加えて、上下肢を突っ張りもがき泣くといった行動も認められた。しかし、境界付腹臥位屈曲姿勢が提供されるとストレスサインは減少しtwitchのみとなった。また、吸引終了後早期にQuiet Sleepに入った。このことから、境界付腹臥位屈曲姿勢は、非組織的で不規則、ぎくしゃくした動きを特徴とする超早産児に対しても行動の組織化を促すことが示唆された。 これまでの一連の研究の根幹をなす考え方を「デベロップメンタルケアと環境」という視点で総説としてまとめた。また、成果を2004年度に開催される国際学会で発表する予定である。
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