研究概要 |
本研究課題では,大学・大学院における実践的指導力形成のための体育科教員養成プログラムの開発を,4年間かけておこなう.初年度である本年度は,国内外の体育科教員養成システム・プログラムに関する情報収集を開始した.諸外国に関しては,ニュージーランド・クライストチャーチ教育大学のIan Culpan氏,オーストラリア・クイーンズランド大学のDoune Macdonald氏,米国・ジョージア州立大学のMichael Metzler氏から直接情報を得た.特に,ジョージア州立大学における体育教師教育のアセスメントプログラムは,我が国の体育教師教育プログラムを開発していく上で,非常に意味深いことが示唆された.この一部に関しては,雑誌論文で発表した. また,本年度,日本国内で開催された体育科教育学関連学会では,体育教師教育の課題に関して,国内外のスピーカーによって活発に論議された.これらの論議は本研究課題に直接関係するため,そこでの論議を詳細に分析した.その結果,(1)Bernsteinの教育学的ディスコースの社会的構成概念を適用した専門分野的-専門職的/職業教育的,理論的-実践的,生物理学的-社会文化的という枠組は我が国の体育教師教育の分析に有効に機能すると考えられること,(2)クライストチャーチ教育大学の体育教師教育カリキュラムは,多様な知識領域の調和をとりながら展開しているため,我が国の体育教師教育カリキュラムを検討する際の一つのモデルとなること,(3)体育教師教育における反省的思考の領域に関する研究を充実していくことが重要であること,(3)体育科教員養成制度に関して,教員養成期間及び教育実習期間を検討する必要があること及び体育教師教育のための特別プログラムの開発が必要であること,が明らかにされた.これらについては,論文で発表した.
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