研究概要 |
本年度は,組織的観察法に対する理解を促すデジタルコンテンツを開発し,それを大学・大学院の授業で実施し,その有効性を検証した.大学生の模擬授業並びに体育科教育法の授業を対象とした組織的観察法を適用した研究において,妥当性と混乱するカテゴリーについて検討した結果,デジタルコンテンツを用いた20分程度の説明でも,観察結果において80%近い一致率を得ることができた.他方で,マネジメントと学習指導において概念的な混乱がみられた.そのため,改めて,デジタルコンテンツの改訂版を作成し,その有効性に関して,大学の体育科教育法の授業で再びデータが収集された.これら一連の研究の結果の一部は,論文で発表した.他方で,複数の学生が同じ授業案に基づき模擬授業を実施する際に直接組織的観察法を適用し,個人レベルでの計画の実施状況を確認した.その結果,大筋では類似した時間配分がみられたものの,個人の裁量で事前の計画が大幅に修正されているケースや発言内容に個人差がみられることも確認できた. 大学院レベルの授業では,模擬授業の映像を実際の記録と照らしあわせながら,生徒の実態を踏まえた指導案の修正過程を反省的かつ共同的に行う過程を組み入れた.その結果,生徒の実態に対応したコメントがレポートに数多く記述された.他方で,教える内容に関する記述を具体化することには課題が残った. また,教師教育プログラムの有効性(効果)を検証するためには,対象となる知識と実践力の特定,さらには,その方法と検証モデルの開発が必要である.そのため,米国の体育科教員養成で実践されているアセスメント・モデルと授業リフレクションについて情報収集を行い,日本の授業研究との比較・検討を行った.この結果は,論文で発表した.
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