研究課題/領域番号 |
14380013
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
杉原 隆 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60015724)
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研究分担者 |
吉田 伊津美 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (30335955)
森 司朗 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80200369)
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キーワード | 幼児 / 運動能力 / 園環境 / 家庭環境 / 保育形態 / 運動指導 / 運動発達 / 年次推移 |
研究概要 |
本年度の研究は、前年度に収集したデータを集計し、先ず、「幼児の運動能力テスト」の最新の全国標準表を作成し、さらに、運動能力発達ならびに、運動習慣と環境要因の関係についての分析し、結果及び総合的な考察を行った。このようにして得られた知見を報告書にまとめると同時に、幼児の運動能力の発達に関与している要因を構造的に明らかにし、運動能力を向上させるための提言をまとめた。報告書にまとめられた主な結果及び考察の概要は以下のとおりである。 以前の資料と比較することにより時代推移により幼児の運動能力に差異がみられるかを分析した結果、幼児の運動能力は1986年から1997年頃にかけて大きく低下し、1997年から2002年にかけては大きな変化はなく現在に至っていることが確認された。 運動能力の発達に最も大きく関係していたのは、園と家庭での運動遊び時間や頻度などの運動経要因であった。 園環境としては、遊び友達の数、保育形態、担任の運動経験の得意不得意など心理社会的環境は運動発達と関係していたが、所在地や園舎園庭の広さや遊具の数など物理的環境との間にははっきりとした関係が認められなかった。特に保育形態に関しては、一斉指導で運動指導をしている園より自由遊び中心の保育をしている園の方が運動能力が高いという注目すべき結果が得られた。家庭環境としては、遊び友達の数、家族構成、親の意識といった心理社会的環境、遊び場の有無と運動遊具の数といった物理的環境の両者が運動発達と関係していたが、住宅形態や居住階層はほとんど関係していなった。 全体としてみると、運動発達との関係の強さは運動経験、心理社会的環境、物理的環境の順によって規定されるという層構造を想定し、共分散構造分析を用いて解析した結果、環境(間接要因)=>運動経験(直接要因)=>運動発達という因果モデルが認められた。
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