研究課題
基盤研究(B)
骨格筋の興奮収縮連関の機能は、活動電位を筋細胞内部へと伝達する横行小管(T管)系及び筋小胞体(SR)と呼ばれる2種類の筋細胞内膜系によって、時間的、空間的に極めて緻密に制御されている生理機構である。伸張性収縮に伴い構造破壊が顕著に進行した骨格筋細胞や、除神経、また関節固定に伴う不活動状態によって損傷が認められる骨格筋細胞では、pentadやheptadなどの特殊な内膜複合体が出現する。この内膜複合体には免疫組織化学染色の結果、2種類のCa^<2+>チャンネルの発現が確認されたことから、Ca^<2+> release units(CRUs)として機能している可能性が考えられる。坐骨神経凍結により短期間、除神経状態にした骨格筋細胞に出現するpentadやheptadなどの内膜複合体は、収縮張力回復と共に消失し、神経凍結3週間後の時点ではほぼ完全にtriadに再構築された。これらの内膜複合体の形成は、骨格筋の収縮張力消失が第一の誘因となっていると推察され、損傷状態にある骨格筋細胞の収縮を励起するために、より多くのCa^<2+>を放出するための代償装置として構築された可能性も考えられる。収縮張力の回復に伴い、内膜複合体がtriadへ再構築されることは、内膜複合体の構造的な可逆的柔軟性を示唆している。この内膜複合体は、発生初期の筋細胞、長期間の不活動、及び下り走によって損傷を受けた筋細胞が再生する過程においてのみ出現が確認されており、これらの筋細胞において内膜複合体の形成を引き起こす共通の因子が存在する可能性が考えられる。しかし、損傷状態にある骨格筋細胞のいかなる因子が内膜複合体形成の直接的な要因となり得るのか、不活動状態を感知するセンサーは何か、不活動の信号を感知してから内膜複合体が形成される細胞内のプロセスは何か、といった問題点は現在でも未解決のまま残されており、今後の検討課題である。
すべて 2004 2003 2002
すべて 雑誌論文 (16件)
Mol.Biol.Cell 15
ページ: 5408-5419
Ann.Fitness Sports Sci. 32
ページ: 1-9
Jpn.J.Physiol.Anthropol. 9
ページ: 53-58
Jpn.J.Phys.Fitness Sports Med. 53
ページ: 403-410
J.Muscle Res.Cell Motility 24
ページ: 439-451
ページ: 527-537
Jpn.J.Phys.Fitness Sports Med. 52
ページ: 241-248
Adv.Exercise Sports Physiology 9
ページ: 151
ページ: 211
Biophys.J. 83
ページ: 2742-2753
J.Gerontol., Biological Sciences 57A
ページ: B339-B343
Adv.Exercise Sports Physiology 8
ページ: 200
J.Gerontol. : Biological Sciences 57A