研究課題
基盤研究(B)
本研究の学術的な特色・独創的な点として、生体内では抗酸化的な酵素や物質が相補的・複合的に作用していると考え、血清の総抗酸化能(TAA)の測定・評価方法に関して検討を行い、方法を確立した。また、貪食細胞の活性酸素種(ROS)の産生を比較可能とする測定方法を確立した。ラットを用い、肺胞洗浄液(BALF)中の抗酸化物質濃度等を測定し、BALF中のタンパク質濃度は急性的な酸化的ストレスの、またチオバルビツール酸反応物(TBAR)濃度は中長期的な酸化ストレスの良い指標となると考えられた。さらに、肺胞マクロファージ(AM)のROS産生能とAM培養上清中のサイトカイン(IL-1β、IFNγ、及びTNFα)濃度を測定し、強制あるいは自発的な運動負荷の違いによる影響を明らかにした。ヒトを対象とした実験として、市民ランナーのマラソン前後で測定を行った。マラソン後には好中球数が増加し、IL-6、IL-8、及びG-CSF濃度も著明に増加していた。これらのサイトカインが好中球の動員に関与していると考えられる。さらに、マラソン完走者の好中球機能及びCD11bとCD16の発現を測定したが、レース後に好中球機能は低下し、その機能低下はCD16の発現減少に伴うと推察された。好中球数の増加は、機能低下に対する補償的な反応とも考えられる。女子大学生の長距離選手を被験者とし、持久的な運動負荷が繰り返される夏期合宿において血清の抗酸化物質濃度とTAA及び血漿中サイトカインを測定した。TAAと血清中抗酸化物質等との相関関係を検討したが、TAAとTBARの間にのみ正の強い相関関係が認められた。サイトカインの変動より、合宿によって全身の炎症性の反応はむしろ抑えられ、Th2活性を抑制した可能性が考えられる。また、運動習慣による血清中抗酸化物質等への影響を地域在住の高齢者を対象に調査研究を行ったが、男性の運動習慣あり群ではTAAとTBARの間に正の相関関係が認められた。本研究で確立した血清TAAは酸化・抗酸化の状況を示す良い指標になると思われる。
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