研究分担者 |
神谷 浩夫 金沢大学, 文学部, 教授 (40192546)
若林 芳樹 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70191723)
矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305)
影山 穂波 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (00302993)
武田 祐子 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30343396)
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研究概要 |
1.研究によって得られた新たな知見 本研究のねらいは女性の就業をたんに産業構造の変化などの経済的な側面だけでとらえるのではなく,生活や都市空間と関連づけながら,地理学的にアプローチすることにある。 (1)女性の就業と生活に関する分析 家事の負担が大きい共働き女性や,母子世帯および育児も担いながら働く女性は,厳しい時間的・空間的制約の中で生活を送っている。既婚女性の労働は,自らの意志による就労のほか,家計の補助的収入を得るための就労もあり,世帯の生活へのさまざまな面において影響が大きい。また子育て後に再就職する女性たちも,家事の時間的な制約を考慮して仕事を選択せざるをえず,年齢制限のほか,パート職しか就けないなどのジェンダーによる職業の分断に直面することが少なくない。 (2)GISによる分析 ジェンダーの視点から1990年代前半から後半にかけての全国の人口移動パターンをGISによって分析を試みた結果,経済活動の停滞に伴う人口移動の量的縮小が確認され,少子化に伴って地方から大都市への人口移動の減少や,人口移動傾向における男女差を明らかにした。 上記の成果は由井他共編著『働く女性の都市空間』を2004年10月に刊行し,国内学会で19編,シンガポール(ICAS)とイギリス(IGU)での国際学会において14編発表した。 2.今後の研究の展開 本研究は,女性就業に関わる諸問題について東京大都市圏を主として分析を試みたが,大都市圏と地方都市,あるいは農村地域との比較を通して,地域差の観点からアプローチする展開を企画している。また,本研究の成果をもとに,女性の就業や生活に関わる諸事象に関して,隣接諸科学研究者,行政担当者や広く一般社会に対して地理学研究の意義をアピールするため「ジェンダー・アトラス」の刊行に向けて研究グループで原稿を作成している。
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