研究分担者 |
八木 剛 兵庫県立人と自然の博物館, 自然・環境評価研究部, 主任研究員 (40311485)
兵頭 政幸 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (60183919)
佐藤 裕司 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (80254457)
半田 久美子 兵庫県立人と自然の博物館, 自然・環境評価研究部, 主任研究員 (20311483)
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研究概要 |
兵庫県大沼湿原(標高810m)において,改良を加えた定方位サンプリング手法により,深度約3.5〜17mの湿原堆積物を採取した.この堆積物には,2層の大山系テフラ(約2万年前)と姶良Tn火山灰(AT:約2.4〜2.5万年前)が確認でき,前年度に採取したオールコアボーリング試料との対比が可能となった.定方位堆積物の古地磁気・帯磁率を測定した結果から,堆積物が定方位で採取されたことが確認でき,改良サンプリング手法の有効性が明らかとなった.また約1.2万年前以前(下限年代は未確定)の詳細古地磁気変動が示されたが,測定範囲においてエクスカーションを示すような偏角・伏角の変動を見出すことはできなかった.ついで大沼湿原堆積物に挟まれる2層の大山系テフラの詳細対比を行うため,大山火山近傍でのテフラ層序と各テフラの詳細な岩石記載的特長を明らかにした.その結果,湿原堆積物中の2層のテフラが,下位より順に,大山笹ヶ平火山灰(DSs),大山弥山軽石(DMs)に対比できることがわかった.これらの結果は第四紀研究に投稿中である. 一方,前年度に採取したオールコアボーリング試料については,中村俊夫名古屋大学年代測定資料センター教授の協力により,10層準の試料のAMS-^<14>C年代測定を行った.AT以浅の試料は妥当な年代を示したが,それ以深の試料には年代値の逆転が見られた.年代測定結果から,従来約2万年前とされていたDMsの噴出年代は,約2.4万年前であると推定された.また前年度に得られたAMS-^<14>C年代とあわせて,深度17m付近の年代は約4万年前の長終氷期中頃であり,これまでの推定年代よりも若いことが判明した.このボーリング試料については,粒度分析・火山ガラス分析・花粉分析等を進めている.昆虫化石は,約8千年前以降に堆積した最上部の泥炭層以外からの産出が少なく,今後は別地点で採取したコアも含めて,AT直下の泥炭層に焦点をしぼり分析を進める.
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