研究概要 |
(1)骨密度は授乳期間が0-1カ月(G1群)では変化なし、2-6カ月(G2群)では出産後0.5-1.5年、8-12カ月(G3群)では出産後1-4年で妊娠初期値まで完全に回復する。平均的にはG1-G3群順に出産後0.5年,1年,1.5年でそれぞれ妊娠初期値と有意差は見られなくなる。(2)離乳後1年以上後に再出産した場合、再出産時の骨密度は前回出産時とほぼ同じあるいはそれ以上となり、再授乳後には妊娠初期値よりさらに高くなる場合も見られる。(3)離乳後1年以内に再出産した場合、再出産時の骨密度は前回出産時まで回復せず、再授乳後にも授乳開始時までの回復には5年以上の長期間を要する。(4)長期授乳後の骨密度回復率には、授乳による骨密度低下率が最も大きく関係し、食を含む生活要因との関連は認められなかった。(5)授乳による低下率が高いほど、授乳前までの完全な回復には長期間を要する。結論 妊娠、授乳により低下した骨密度は授乳期間に応じて出産後0.5-4年で妊娠初期値まで回復する。再妊娠、再授乳による骨密度回復への影響は授乳期間ではなく、離乳後次回出産までの間隔である。授乳後の骨密度の回復には、授乳による低下率が最も関係し、食生活を含む生活要因との関連は認められなかった。授乳による低下率が高いほど、授乳前までの完全な回復には長期間を要するので、授乳期間中の食生活が重要である。
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