研究概要 |
トコトリエノール(Toc3)の生体内分布をα-トコフェロール(α-Toc)、α-及びγ-Toc3を高濃度に含有するパーム油抽出物(T-mix)または純粋のa-Toc、α-Toc3、γ-Toc3を用いて検討した。またこれらとゴマまたはゴマリグナンの併用の効果を調べた。実験動物としてラットまたはヘアレスマウスを用いて検討し、次のような成果を得た。 1.T-mixをラットに投与して、生体内分布を調べたところ、α-Tocはすべての組織に高濃度に検出されたが、α-及びγ-Toc3は脂肪組織と皮膚のみに特異的に検出さて、他の組織では僅かな検出量であった。 2.T-mixとゴマを同時に摂取すると、α-Tocはすべての組織で有意に上昇し、脂肪組織と皮膚ではα、およびγ-Toc3もともに有意に上昇した。 3.純粋のα-及びγ-Toc3を用いて、生体内分布に及ぼすα-Tocの影響を調べたところ、純粋のα-及びγ-Toc3もT-mixの場合と同様、脂肪組織及び皮膚に特異的に多く取り込まれた。α-Tocを同時に摂取するとα-Toc3は単独の場合に比べ取り込み量が低下したが、γ-Toc3は単独の場合とほぼ同じで、α-Tocによる競合的排除が認められなかった. 4.皮膚に取り込まれたToc3の抗酸化性を調べる目的でアレスマウスに紫外線照射し、皮膚赤斑に及ぼすT-mixおよびT-mix+セサミンの投与効果を調べたところ、赤斑の程度はT-mix添加で有意に軽減され、セサミン+T-mixで更に軽減されることが分かった。 5.胃内にα-Toc、α-Toc3、γ-Toc3を単独またはセサミンとの混合液を単回投与後、1,3,6,9、24時間と経時的にラットを処理して、血漿リポたんぱく質、肝臓、脂肪組織、皮膚へのビタミンE同属体の取り込みを調べたところ、Toc3は血漿・肝臓では投与3-6時間にピークに達し、24時間後はごく微量に低下したが、Toc3は24時間まで上昇した。また、セサミンの併用で、すべてのところでビタミンE濃度は上昇したが、キロミクロンでも上昇していたことから、セサミンはビタミンEの吸収を促進する可能性が示唆された。
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