研究分担者 |
宇野 隆夫 国際日本文化研究センター, 教授 (70115799)
前川 要 中央大学, 文学部, 教授 (70229285)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
高橋 浩二 富山大学, 人文学部, 助教授 (10322108)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
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研究概要 |
日本には,火山噴火で埋まった当時のタイムマーカとして貴重な遺構が多くあり,その解明は考古学・火山学にまたがる重要な課題である.また遺物には,生成後に再度加熱を被っているものがよくある.こうした被熱遺構や再加熱の痕跡は見た目ではわからないことが多い.本研究では,遺構遺物の熱履歴を熱残留磁化から探る調査法を考え,考古学的検討を併せた研究法を確立し適用することを目的としている. 本年度は,熱履歴を磁化特性から調べるため,熱消磁,帯磁率,磁気ヒステリシスの実験系および超伝導磁力計を整備した後,遺物と歴史火山に関する調査を行った. モンゴル帝国第2代皇帝オゴダイの春の離宮(西暦1237年に建造)Doityn-Balgas遺跡出土の青釉タイルの残留磁化を調べた結果,獲得温度が150℃を境とする2成分に分離できた.高温部の磁化はタイルが化粧面を表にしてほぼ水平の状態で焼成されたことを示している.150℃より低温の磁化は,化粧面が下向きの状態で再加熱を受けたことを示した.これはタイルが宮殿の天井を飾っており,何らかの理由で加熱を被ったことを示唆する結果である.宮殿が焼き打ちを被った可能性が考えられ,新潟大・白石先生の考古学研究もこれを支持している. 歴史時代の火山被害の調査として,磐梯山と十勝岳の火山噴出物の磁化を研究した結果,火砕流の定置温度の推定や地すべり的移動が示され,当時の住民への影響も.今後検討する予定でいる.
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