研究概要 |
課題及び関連する研究として以下を行った。 1.約5,000年〜約35,000年前(C-14)の炭化物試料及び被熱黒曜石試料約70点の加速器質量分析放射性炭素年代測定及びフィッショントラック年代測定を行い比較検討した。 このアプローチは,サンゴ・鍾乳石・湖底堆積物などを用いたアプローチと比較して,異種試料の同時間性の保証を文化的集合・文化層・層序に頼るため,対応関係に年代幅があり,かつ試料の時間的分布に偏りがある難点がある。 結果については,成果報告書,及び9月に立教大学で開催する"黒曜石サミット"国際研究集会において発表する。 2.地質学的黒曜石約2,000点の中・長寿命核種を用いた機器中性子放射化分析(INAA)による微量元素測定を行った。また,120点のLA/ICP-MSによる分析を行った。 この成果は,日本の約100黒曜石産地のEDXRF, INAA, LA/ICP-MSデータベースを構築する一環となる。5月の日本文化財科学会(京都)(鈴木正男他13名:黒曜石産地推定測定方法間比較と最適分析フローの予備的考察)及び"黒曜石サミット"で発表する。 3.SIMSによる黒曜石水和層のH(+)プロファイリングを行った。 この試みは我が国で初の事例であり,AMSC-14,FT,及びSIMS-OHDによる考古気候復元への道が開けることが期待される。結果は,5月の日本文化財科学会(京都)(渡辺圭太,Liritzis, I.,鈴木正男:黒曜石水和層年代測定法による古気候復元への試み)及び"黒曜石サミット"で発表する。
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