研究概要 |
この研究の目的は,同時間性の保証された試料(木炭と被熱黒曜石)の2つの年代測定法(AMS C-14,FT)による測定値の不一致の大きさと傾向を検討することであったが,おもにFT法の側に大きな障害があり,当初の目的にそった十分な成果を挙げることはできなかった。 長野シリーズの黒曜石試料は,ガラスクリアーな高品位で,FT年代を計数誤差5%で計数することは可能であったが,比較するAMS C-14年代の同時間性の保証が,第3級の地質学的層位によるものでしかなかった。 この問題を克服するために,第2級の同時間性(考古学的)が保証された北海道シリーズを追加したが,結晶性物質のエッチピットでフィッション・トラック類似のものが存在すること,及び,試料の大きさが小さいこと等の理由で,信頼性の高い,再現性のあるFT年代の測定を行うことはできなかった。 この結果,2つの年代測定値の間の換算値を得るには至らなかった。 北海道シリーズでは,S/N(信号/ノイズ)比がきわめて低く,人の目による計数の限界をはるかに超えている。 したがって,今後の研究の方向性としては,著しく遅れているFT年代測定の自動化・機械化が必要である。 関連する分野の研究では,数編の論文・報告がある。これらについては冊子体に収録する。
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