研究課題/領域番号 |
14380051
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研究機関 | 独立行政法人国立博物館東京国立博物館 |
研究代表者 |
澤田 むつ代 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 文化財部・保存修復課, 環境保存室長 (40215918)
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研究分担者 |
神庭 信幸 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 文化財部保存修復課, 保存修復課長 (50169801)
和田 浩 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 文化財部保存修復課, 環境保存室員 (60332136)
小山 弓弦葉 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 文化財部展示課, 平常展室員 (10356272)
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キーワード | 上代裂 / 法隆寺裂 / 正倉院裂 / 天然染料 / 媒染剤 / 染色 / 保存科学 / 保存修復 |
研究概要 |
本研究は、法隆寺の染織品である法隆寺裂における染料および媒染剤の実態を明らかにすることを目的としている。特に法隆寺裂は、赤・紺・紫色の発色が極めて良好である。また、黄色系の色も、やや赤味を有するもの、茶色味を帯びたもの、緑色味がかったものと、微妙に色合いが異なっており、かなり幅のあることが認められる。こうした色がどのような染料を用いて染められたか、その基となる植物の同定、媒染剤の種類などを特定し、法隆寺裂における染料および媒染剤の実態を明らかにする。さらに、法隆寺幡のうち命過幡と推定される幡は、多くが黄地平絹で仕立てられており、また、人々が奉納した幡は、さまざまな色の平絹が用いられていることが確認されている。こうした染め色と用途との関係が、当時の染織品などとどのように関わってくるのか、また、奈良時代に記された資財帳や平安時代の『延喜式』などにみられる文献資料の記述との関わりを、総合的に検討することで、上代裂の研究を多角的に発展させる。 平成16年度は、平成14・15年度で作製した標準染物試料(1種類の染め材に対してそれぞれ4種類の媒染剤を使用した)の各色について、可視光スペクトルと三次元蛍光スペクトルの測定、およびデータの整理を行なった。現在も補正作業などを継続中。今後、これらを基データとして、法隆寺裂の測定を行い、染料や媒染剤を特定してゆく予定である。 また、日本古来の伝統技法との比較検討をするために、米沢市の紅花染工房2箇所と盛岡市の紫根染工房、さらに。有松・鳴海において絞り染め作業などの見学と調査を行なった。
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