研究課題
韓国国立中央博物館が所蔵している中央アジアの美術品は、大谷コレクションの一部である。これらは、朝鮮総督府博物館に寄贈されたものが韓国国立中央博物館の所蔵になったものである。大谷コレクションの一部は東京国立博物館にも所蔵されており、西域壁画の研究を行う上で貴重な資料になっている。韓国国立中央博物館所蔵の壁画については、寄贈されたままの状態になっていて修復が必要な状況になっている。東京国立博物館の所蔵の壁画は、すでに修復が完了していて展示などに活用されている。東京国立博物館所蔵の壁画が修復された時代と違い、現在は壁画としての情報を残し、再び修復を行う場合にも支障のない修復材料が開発されるなど修復技術が進歩している。また、修復に伴い顔料や製作技法などの情報を美術史的あるいは保存科学的手法を用いて総合的に調査を行うことが一般的になっている。この研究は、韓国国立中央博物館保存科学室の職員と共同で壁画の修復技術の開発研究を行い。さらに西域壁画の性格を理解するために美術史研究者などと共に総合研究を日韓共同研究として行うものである。光学的手法を用いて壁画彩色を紫外線や赤外線などの非破壊的方法で下書きなどの調査の行うために東京国立博物館所蔵の大谷探検隊将来壁画3点のデジタル写真撮影および蛍光X線などの分析を実施した。修復については、昨年度、最終的な修復方法を決定したため、本格的な修復を実施して修復技術の定着を図った。また、報告書のまとめを行った。