研究課題/領域番号 |
14380053
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
光谷 拓実 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター・研究指導部, 室長 (90099961)
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研究分担者 |
清水 真一 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・文化遺産研究部, 室長 (70359446)
松浦 正昭 独立行政法人奈良国立博物館, 仏教美術資料研究センター, センター長 (80004092)
小林 裕幸 千葉大学, 工学部, 教授 (60134350)
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キーワード | 年輪画像計測システム / ウェーブレット / 年輪年代学 / 古建築部材 / 木彫仏 / 年輪パターン |
研究概要 |
本年度は、年輪画像から年輪幅を自動的に計測するシステムを開発、ならびにこのシステムを古文化財の年輪年代測定に応用する研究をおこなった。システム開発の中心となる年輪認識プログラムの作成は、前年度の研究成果であるウェーブレットによる局所的な周波数情報の利用、ならびに層内密度プロファイルの利用を組合わせることによっておこなった。このシステムは、表面が平滑に研磨された試料や軟X線透過画像などのように、ノイズの少ない良好な年輪画像に対しては所期の目的を十分に果たし得ることが確認された。ただし、古文化財試料のように、表面の加工痕跡、経年劣化、彩色などによって年輪が不鮮明なものに対しては、年輪の誤認識や検出漏れもあり、必ずしも十分とは言い難い。古文化財へ適用する際には、計測者の責任において最終的にチェックをおこなうなど、自動計測機能の特徴を理解しながら活用することが望ましい。 古文化財への応用に関しては、国宝唐招提寺金堂、国宝法隆寺五重塔、国宝宇治上神社本殿・拝殿、国宝平等院鳳凰堂、木彫仏などの年輪年代調査を上記画像計測法を用いておこない、建造物や木彫仏等の年代評価に大きな影響を与える成果を得た。 このように、本研究で新たに導入した画像計測による年輪年代調査方法は、これまで年輪年代測定の対象とはなりえなかったような建造物の現地調査も可能になったこと、計測の作業効率が向上したこと、パソコン・デジタルカメラ・スキャナなどの汎用機器でも年輪計測が可能になったことなど、年輪年代学の適用範囲の拡大と一般化に大きく結びつく研究となった。
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