研究概要 |
平成16年度は,国立大学の法人化元年に当たり,本研究に関わった者の多くは,法人化に関わる作業も多く多忙な1年であった。さらに研究代表者も附属学校の校長職を任じられ,研究時間の確保に苦労した年であったといえる。研究会の開催も計画通りにはゆかなかったが,前年度までに高めておいた議論や研究成果も基に,それらを更に深め,実践的なプログラムまで考察を進めた。これらの研究成果は最終報告書に収録した。 平成16年度においては,日本科学教育学会年会における数件の研究発表,研究会の開催,分担者の研究発表のための学会派遣,実践的なプログラムの開発などを通して,研究を進めた。 内容的には,次のような実績を残した。 1)2004年8月に開催された日本科学教育学会年会において,学会企画課題研究「科学教育の根本的な変革をめざして-科学教育基盤の再構築とその科学教育課程への反映-」(オーガナイザー:下條隆嗣・木村捨雄)において,7件の研究発表を行った。 2)2004年12月に研究会を開催し,その中で,数人のパネラーによる座談会を実施し,これからの基礎基本のあり方,学校制度と科学教育,研究者養成など,今後数十年にわたる日本の科学教育の課題を分析した。 3)研究分担者を新しい生命科学教育についての研究発表のために学会へ派遣した。 4)新しい科学教育課程の枠組みに関して数件の考究を進めた。これには,カナダのビクトリア大学のDavid Blades博士によるカナダにおける科学教育のヴィジョンの論考も含まれている。 4)過去において科学教育がいかに発展してきたかをみるために,日本におけるこれまでの科学教育の歴史的概観を考察した。 5)新しい教育実践の方向性として,科学教育課程の知能の発達段階との整合性についての研究や,定量的把握の促進を促すプログラム,物質観の形成を促すプログラム,持続可能性社会において重要と考えられる「エネルギー」「粒子観」概念促進のプログラムなどの開発,子ども(小学生)がいかに学習するかについて,小学校理科の授業を長期にわたり観察して子供の概念転換の様子を明らかにするなどの研究を進めた。 6)本研究については,平成14年度・15年度両中間報告に引き続き,平成16年度は「最終報告書」を作成した(同両中間報告書はDVD化し最終報告書に添付)。また,これらの研究の一部は学会誌に論文として発表した。
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