研究概要 |
本課題研究は大別して,A.音声数式入出力インターフエース開発,B.点字数式入出力インターフエース開発,C.数式ペン入力・数式OCR開発の3つの部分から構成される。平成14年度は,それぞれ主に以下の研究・開発・調査を行った。 Aグループでは,後述するCグループの協力のもとに,分担者の鈴木らの開発した"Infty Editor″という数式エディターを対象として,視覚障害者用音声出力ユーザー・インターフェースを開発した。この研究開発は(1)基本操作の音声化,(2)数式編集機能の音声化の2段階に分けて実施された。 Bグループでは,点字使用の視覚障害者のために点字による数式入出力ユーザー・インターフェースを開発する基礎として,次の研究を行った。(1)Unicodeに点字記号を割り付け,統一日本語点字記号の第2版の開発を進め,(2)開発した統一日本語点字記号体系の無矛盾性を検証するために点字記号登録管理システムを構築し,(3)統一日本語点字記号の使い勝手を検証するために統一日本語点字記号・墨字自動変換ソフトウェアの開発を委託した。 Cグループでは,(1)前述のAグループの研究に関連して,手書き数式入力インターフェースを持つInfty Editorに読み上げ機能を実装するため,内部データ形式の変更や種々のAPI関数を実装するなど,バリアフリー化のための改良を加えた。また,(2)オーストリアのリンツ大学で開催された障害者支援コンピュータ技術に関する国際会議に合わせて,同大学の視覚障害学生を対象としたバリアフリーネットワークについて調査し,視覚障害者を対象に数式を使った理系教育を行うための技術的課題について研究連絡を行った。
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