研究分担者 |
遠山 弘徳 静岡大学, 人文学部, 助教授 (20202195)
ジャン クロードジュゴン 静岡大学, 情報学部, 外国人教師
松王 政浩 静岡大学, 情報学部, 助教授 (60333499)
河原 俊昭 金沢星稜大学, 経済学部, 教授 (20204753)
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研究概要 |
平成15年度は,平成14年度において得た電子文章(電文)サンプルデータとの比較資料を得るために,自筆文章(自文)によるサンプルデータの収集に着手した。そして,得られた自文データを電文データの時と同様に,多様な文機能分析の手法に基づいて分類した。その結果,いわゆる入力ミス(記入ミス)に対しては,「自文」の方が修正努力の痕跡が「電文」に比べて著しいことが明らかとなった。また,電文の方は「道具的機能」(依頼・要求など)が高かったが,自文は相互作用機能が高まることも判明した。このことより,簡単に総括すれば,電文の場合は相手との心的距離を縮減し,好感度の高いメッセージスタイルを採用する一方で,利己的なメッセージ内容をも発信しやすい状況に置かれると言える。また,自文の場合は,「書く」という一連の作業が「打つ」(入力)という電文における瞬時動作の連続体と比べると,思考の連鎖を維持しやすいということも言えるようである。 これらの知見に基づいて,電文には人間の道徳性の発達の上で幾多の危険因子が垣間見られるのではないか,との仮説を立て,様々な観点からの実験を行った。その中でも,「フォント」の持つトーンの調査実験に関しては,フォントそのものの種類によって,威圧効果もあれば癒し効果もあるのではないかという仮説を証明しようとする独創的な試みとなった。サンプル数を出来るだけ数多く取りたいとの意図から,調査は継続中であり,その総括は次年度において行いたいと考えている。さらにまた,電文受信者の視覚認知に関する実験も試みた。すなわち,ディスプレーという「一覧性の乏しい環境にある場合の思考の連鎖はどうなるか」の問いを中心課題として調査を試みた。自文と比べるとかなり分散型思考が強まるようであるが,この点に関しては精神病理学専攻のジュゴンを中心に,次年度に組織メンバー全員での分析を試みたいと考えている。
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