研究概要 |
本研究の目的は,我が国と世界各国の学校における薬物乱用防止教育プログラムの構成,内容,方法を総合的に比較分析して検証し,学校において薬物乱用防止教育をどのように位置づけるかを明らかにするとともに,国際比較が可能な科学的評価システム(モニタリングシステム)を導入して,学校における薬物乱用防止教育の有効性を明らかにし,科学的根拠に基づく薬物乱用防止プログラム(Evidence-based Drug Abuse Prevention Program)を構築することである.4年間の研究成果は下記のようである. (1)我が国の青少年の喫煙・飲酒・薬物乱用実態を全国調査により明らかにし,諸外国と比較した.喫煙の生涯経験率は男子,女子ともに中学校1年生の男子9.9%,女子7.4%から高校3年生の男子39.1%,女子22.2%と年齢にともなって増加している.米国の結果と比べると,我が国の中学生,高校生の喫煙率は米国の生徒より低い.我が国の青少年の飲酒の生涯経験率は高く,中学校1年生でも男子51.4%,女子48.8%が飲酒を経験しており,高等学校3年生では男子の81.1%,女子の79.7%,全体として8割の生徒が飲酒を経験している.我が国の中学生および高校生の飲酒経験率は米国より高い.我が国の中学生,高校生の薬物乱用生涯経験率は2%未満であり,欧米の同年齢の青少年の薬物乱用経験率に比べて著しく低い.この結果は,我が国社会の違法薬物乱用に対する厳しい姿勢を反映するものであるとともに,学校における薬物乱用防止教育の成果でもある. (2)4年間に収集した世界の学校における喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育プログラムに関するデータベースを作成した. 上記を総括し,研究班内で討論を重ねて,報告書を作成した.また,研究成果を国内及び国際学会で発表するとともに,論文及び著書として出版した.
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